何もかも風まかせみたいなそういう顔。
* * *
少し前のこと。
あずき(息子)をベビィカーで保育園へ連れてゆき、
いつものように園児が駆けめぐる園庭を横切っていると、
前方から直線で脱兎のごとく、
推定4〜5歳の活のよい男子が向かってきた。
「?」
と、うっすら笑いで小首などかしげるに、
お子はビシッとわたしの顔を指差し、
たったひとこと、
「誰?」
とおたずねあそばされにけり。
誰?
誰??
むしろYouは誰???
あまりにも侍がすぎるその質問、
完全に虚を突かれて動揺しているこちらをよそに、
彼はその指先を今度はあずきにうつし、
「誰の子?」
と、
カンバセイションとしてはまたも斬新な切り口で、
容赦なく攻めたててくる。
だっ。。。誰の子?って。。。
そんなん。。。
「わたしの子。」
(滝脇汗。)
。。。
はい園児走り去ったー!
はい話最後まで聞いてないー!
はい「わたしの子。」ってナニー!
はいボキャブラリー不自由ー!
はいしかも声張れてないー!
なになになになに。
彼はなになになになに。
なにかミッションを遂行したわけ?
そしてわたしの不自由な対応があまりにもで、
そのミッションはインポッシブルに終わったわけ?
ママトークよりモアーディフィカルトやん。
おとといはおとといで、
泥団子を製作中のなかよし女児3人組が、
「あんなあんなー!」
とわいのわいの言いながら寄ってきて、
「赤ちゃんかわいー!」
とキャアキャアかしましく飛び跳ねつつ、
「手なーわりとキレイから赤ちゃんさわっていいー?」
と、
いい具合の灰色に染まった手のひらを突きつけてきた。
あほか!(心の声。)
勘弁してぇな。
ワシまだ幼児トークにまで手つけれてないねん。
こないなときどうしたらええんや。
どうしたらお嬢ちゃんらを泣かさんですむんや。
大人やったらだまって秒殺やけど、
ワシもさすがにお嬢ちゃんらを視線でよう殺さんで。
・・・かと思えば、
「どちらのクラスの方ですか?」
などと、
ゆとり世代の新入社員もまっ青な、
かしこまったトークが売りの男児がいたり。
こっちも思わず敬語使ってしまったわ。
まだこの世にうまれて数年に満たないというのに、
すでに驚愕の個性を発揮する彼ら、
あずきもいつかはああなるんだろうけど、
まだどの子を見てもピンとこない。
もちろん漠然と、
「男のこらしく育ってほしい。」
とは思うのだけど、
今はまだとにかく、
「無事に生かせてやらなくては。」
という気持ちが強すぎて、
日々必死すぎで、
想像力を働かすまでいけてないのが正直なとこ。
信じられないな。
あずきがいつかあの園庭を駆けまわるなんて。
竹馬とか乗っちゃって。
虫を捕まえてきて泣かされるのかな。
朝いちばんから全身泥まみれでさ。
わたしはそのころはどうかな。
やれてるかな。
ちゃんとやれてるかな。
あずきといっしょに泥まみれになれるかな。
・・・しかしその前に幼児トーク。。。
幼児の友だちおらんし、
そっちのほうが難関なな。。。
もうママトークなんかさらに眼中なくなるわ。
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